愛すべきバス釣り名著

愛すべきバス釣り名著③『底抜けブラックバス大騒動』

投稿日:2017年1月17日 更新日:

※追記

2018年3月11日に放映された

池の水ぜんぶ抜く大作戦7

を批評。

 

一昨日(2017年1月15日)の夜7:54~9:48分、

テレビ東京系列で、

日曜ビッグバラエティ「緊急 SOS!危険生物から日本を守れ!全国一斉大調査」という番組が放送されました。

 

公式ホームページの説明を借りると、危険生物に悩まされる近隣住民のSOSに出動!

外来種が大量発生し困っている池の水を全部抜き、

そこには何が潜んでいるのかを大調査!そこには予想だにしない生物の姿が

との内容です。

 

私も何気なくテレビをつけて、見ていましたが、

田村淳さん(ロンドンブーツ1号2号)らが、

実際に池に行って、水を抜き、外来魚を駆除するという内容。

タイトルで強調されている危険生物というより、

外来種を排除して生態系を守ろう、といった趣旨でした。

周囲に危害を加えるカミツキガメの大量発生池では結局、

カミツキガメは見つからなかったし…危険生物はほとんど登場せず。

何とか企画として成立させられるよう、

もっていったスタッフの苦労が垣間見える番組でした。

 

特番ですから、第二弾はもうないかもしれません。

番組の中で印象に残ったのは、

ギギやゲンゴロウブナを国内外来種だとして、駆除していた場面。

一方、リアルタイムでツイートを検索してみますと、

「日本の魚なんで別に大丈夫やろ」といった趣旨の意見も散見されました。

 

国内外を問わず、その池や湖がある地域固有の生態系を守ろうというロジックですから、

ギギやゲンゴロウブナの駆除は私自身、理解できます。

ただ、

多くの人が「日本の魚なんで勘弁してやって」と思ったかもしれません。

番組やそういうツイートを見ていて、生物多様性の保全や、外来種の駆除って何だろう、

結局、感情論なのかなあと、バス釣りを楽しんでいる者として虚しくなってしまったわけです。

 

最近グーグルのCMで明るく紹介されていた「野良グッピー」も、

そういう意味では、見て楽しむのではなく、

根こそぎ駆除せなあかんやんと思うわけです。

グッピーはかわいいからとか、他の魚を食べないとかでは済みません。

今回の番組では、

中国原産のソウギョを水草除去のため200匹放流した記憶があるが、

「現在の水質悪化はソウギョが水草を食い尽くしたせいだ」といって、

水抜き駆除を依頼してきた人が登場しました。

 

役に立たなくなると、すぐ駆除。

 

なんか虚しくなりました。

結局、

我々がお世話になっているブラックバスも、

社会の大多数の人にいかに有用か示さないと、今の状況は改善されないのでしょう。

ちなみに、肝心のブラックバスは池にいたのかもしれませんが、

番組内ではフィーチャーされることなく終わりました。

 

前置きが相当長くなりましたが、

今回は私が感じたもやもやを少し解消してくれる書籍を紹介いたします。

前回の『ブラックバッス』に続いて、

3回目の「愛すべきバス釣り名著」でございます。

今回は『底抜けブラックバス大騒動』(池田清彦著、2005年5月初版、つり人社)を紹介します。

小池百合子環境相(現東京都知事)がブラックバスのリスト入りを主導した、

いわゆる外来生物法施行の直前に上梓された名著です。

著者はなんとあの人気番組「ホンマでっかTV」(フジテレビ系列)でおなじみの池田教授。

10年以上前なので若いですね。

もともと生物学が専門の池田教授。

出版社はBasserなどを発行するつり人社ですが、

まえがきで「ブラックバスがどうなろうと個人的には困ることは何もない」と強調されております。

ではなぜこうした本を書いたのか。

 

池田教授は

「生物多様性なんて、理屈の話じゃなくて元々情緒の話なのです。

どっちの情緒に加担したほうが、

今の日本人に受けるかという話になるわけです」と強調。

そうした非科学的な議論に一石を投じたいとの思いがあったようです。

 

今回の外来種番組視聴後、久々に本棚から手に取りました。

読了後、

冒頭触れさせて頂いた野良グッピーやソウギョ、ギギ、ゲンゴロウブナもなんか同じだなーとしみじみ。

ネタバレになるので、書籍の詳しい内容には、触れません。

思ったのは、

結局、生物多様性の保全や外来種駆除っていうのは、

いろんな耳触りの良い枕詞が付けられますが、

「人間にとって有益○、有益ではない×」

という大前提に沿って判断されていくのではということ。

 

ブラックバスについては釣り界隈を中心に有益と思う人がいたり、

漁師や一部の学者さんのように駆除しろという人が混在しているので、話がややこしくなっています。

本書に出てきましたが、天然痘ウイルスを自然界から根絶されることに誰も異論は挟まないでしょう。

その際、生物多様性を守れという人は出てきません。結局は人間の物差しなんですかねー

前回の『ブラックバッス』の時にも述べましたが、

「食」に訴えかければ、少しはブラックバスの状況が改善されると思うのですが…

 

本書の雰囲気をつかんでもらうため、目次からキーワードを抽出いたします。

「定着した外来種をどうするかは別問題」「里地里山は人間が造った自然」

「懐かしいものを守りたいという気持ち」「結局は政治的な話」「外来種駆除で税金がドブに捨てられる」

以上になります。興味を持たれた方は、是非手にとって頂きたいと思います。

 

最後に、

ブラックバスは出てきませんでしたが、

ああいった外来種駆除番組を見た後、私たちバサーはなんだか悪いことをしているように思えてきますが、

バス釣りをする権利は認められております。

リリースに関しても、各都道府県の条例がない地域は、認められております。

 

マナーを守ってこれからもどんどんバスフィッシングを楽しみましょう!


 

私のyoutubeチャンネル「バス釣りアマチュア動画」もよろしくお願いいたします

-愛すべきバス釣り名著

執筆者:


  1. あぱ より:

    もっと言えば池と言うものは人工的につくられた
    水溜まりでそこに在来種などというものは存在しない
    のです

    • td より:

      コメントありがとうございます。
      琵琶湖のような自然湖なら分かりますが、おっしゃるように、人工的に造った小規模ため池の、固有の生態系って一体何なんだ?といつも思ってしまいます

  2. ぼー より:

    揚げ足を取るようで申し訳ありませんが、フューチャーではなく、フィーチャーですね。文脈で理解できるので特別指摘するような事では無いと思いますが、今後の参考までに

    • td より:

      貴重なご指摘ありがとうございました。私の勉強不足です。
      当該箇所を修正させて頂きました。

      今後ともよろしくお願い申し上げます。

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車がないのにボート釣りを楽しむアラサー。四国に生まれ育ち、小学4年の頃バス釣りを開始。以来、高校まで近所の野池やリザーバーなどでバス釣り人生を過ごす。現在は東京在住。初めてバスを釣ったルアーはノーブランドのミノー。思い出のリールはスコーピオン1500、TD-Z105HL、バリウスF200

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